「ピカソとその時代」展のキュビスム、ピカソはなぜ変な絵を描くようになったのか?

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今、ピカソやクレーなど4巨匠の名作がそろう展覧会「ピカソとその時代 ベルリン国立ベルクグリューン美術館展」が「国立国際美術館」(大阪市北区)で開催されています。2月4日~5月21日まで。

国立国際美術館

ドイツ出身の美術商ハインツ・ベルクグリューンの収集品を収めるベルリン国立ベルクグリューン美術館の所蔵品97点に、日本の国立美術館所蔵・寄託作品を加えた計108点を出展。うち76点が日本初公開となっています。

ピカソは初期の「青の時代」から晩年まで40点以上。第2次世界大戦中に愛人ドラ・マールを描いた「黄色のセーター」や、「大きな横たわる裸婦」などが見どころです。

他に、アンリ・マティス、パウル・クレー、アルベルト・ジャコメッティの作品も。
4巨匠の名品の数々は訪れる人の感性を強くゆさぶることでしょう。

左:多色の帽子を被った女の頭部 右:黄色のセーター

ピカソのあの変な絵はいつ誕生したのか?

さて、筆者が最も気になるのは、パブロ・ピカソのあの変な絵です。

Yahoo!の知恵袋の質問にもありました。

ピカソの絵は、何故あんな途中から変なになったのでしょうか?

やはり単純に気になります。
これについては、回答者も書いていますが、

ピカソは1907年「アヴィニョンの娘たち」で突然、変な絵を描き始めたのです。

それまでは旅芸人などを、しっかりした写実的でものさびしい雰囲気で描き、それなりの評価を得ていたというのに。

評価されたの?

いえ、「アヴィニョンの娘たち」はコレクターや友人の画家たちにも初めはまったく理解されなかったようです。

やはりそうだったんですね

これは、アフリカ彫刻に興味を持ち描いた作品のようです。描かれた当時のバルセロナのアビニョ通りには売春宿があり、そこの売春婦たち5人を描いたものですね。
でも、最初は不評で、裏返しの状態でアトリエに10年以上放置されていたとか。

この変わったスタイルは「キュビスム」と言われ、立体をいろいろな方向から見て、一つの平面に再構成したものです。
モノには見えない向こう側が存在し、見たまま描く必要はないと、ピカソは気づいたのです。彫刻には裏側もありますからね。

本を読む女

ピカソの膨大な作品、キュビスムの時代はいつか?

ピカソは画家の父を持ち、幼少期から絵を描き始め、晩年までに膨大な作品を残しています。そこで、まずその絵の歴史を振り返っておきましょう。

幼少期~青年期 写実主義
この頃は写実的な絵を描いていました。彼が14歳のとき、カトリックの洗礼の様子を描いた絵は、とてもその年代の少年が描くレベルではない緻密なものでした。彼の父はピカソが9歳のときに描いた絵を見て、ショックのあまり画家を辞めたほどです。

青の時代
プロシアブルーを基調とした暗い作品の時期です。親友の自殺がきっかけで起こった感情が込められていると言われています。物乞い、娼婦、盲人という社会的弱者がモデルとなり、貧困や絶望、憂鬱といった負の感情の表現をしながらも、心の炎を燃やし続けました。

バラ色の時代
青の時代を経て新しく恋人ができたことがきっかけで、赤系統の色が作品に目立つようになります。曲芸師や軽業師を好んで描くようになり、サーカスの時代とも呼ばれます。心が安定していた時代です。

キュビスム
キュビスムというのは、モノを多方面から見て、幾何学的にとらえ、平面上に合成したものです。対象物をいろんな角度から見て、モチーフを単純化・抽象化して立体の組み合わせで表現。1907年の「アヴィニョンの娘たち」はキュビスムの最初の作品。それ以降にキュビスム作品が続々登場し、これらは原始的な彫刻の影響を受けているとされ、変な絵はこの頃からです。

シュルレアリスム~晩年
キュビスムから新たな表現技法を模索していた頃。モデルと画家の間の関係性で見たままを表現しました。モデルは極端に破壊されて、沸き起こる感情をカンバスに描いています。晩年の作品は子どもが描く絵のようですが、ピカソが言うには子どもはみんな芸術家、晩年になって彼がようやく掴んだ芸術の集大成です。

ピカソの絵から愛人たちを想像する…

ピカソにはこうした絵の変遷があります。
それとピカソの私生活はどんなものだったのか。妻や愛人については、どうなのか。いやはや、これまた波瀾万丈で、別記事でしっかりご紹介します。
これがまたとんでもない人生なのです!

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筆者は国立国際美術館の展覧会でピカソの絵を見て、いろいろ感じるものがありました。
興味ある方は、会場へどうぞ。

展覧会概要

会期:2023年2月4日(土)〜2023年5月21日(日)
会場:国立国際美術館
住所:大阪府大阪市北区中之島4-2-55
時間:10:00〜17:00
※金・土は20:00まで(入場は閉館30分前まで)
休館日:月曜日
※5月1日(月)は開館
観覧料:一般 2,100円
大学生 1,300円
高校生 900円
※中学生以下無料
TEL:06-6447-4680 (代)
URL:https://www.mbs.jp/picasso-and-his-time-osaka/

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